房総の自然と文化を楽しもうよ!!
「海いこ山いこ」では、房総の自然や文化遺産などをめぐります。子どもと一緒に行く事を考え、優しいハイキングコースの紹介をしてゆきます。短時間・単独でのプチトリップも楽しいですよ。夫婦やママ友とゆる〜い旅もどうぞ♪

2015年5月6日

前編>養老渓谷ハイク 〜大福山梅ヶ瀬コース〜

2015年5月4日(月・祝)天気はれくもり時々雨

はじめまして、藤代です。
ハイクど素人のライターが、仕事で知り合った友と山越え谷越え、海も山も楽しむショートトリップにコバンザメするようになりました。



千葉の伝統的深井戸手掘り工法・上総掘りを学ぶこと12年。
体を動かすのはボランティアであっても「労働(笑)」。
ガテン系の作業着はやたら揃っている私が、歩くことをスポーツとして楽しむ日が来るなんて!

無心でくたくたになるまで息を切らして、「あそこまで行ってみよう!」と腕も脚もフル稼働、花や木の名、水や空の色をひとつひとつ確かめる時間は、子どもの頃にさんざん味わった感覚でした。

先月、初めてロープウェーを使わずに鋸山に登って、すっかり自信をつけた私は友に甘え、2度目の冒険に出掛けました。
今回は養老渓谷ハイク。
大福山展望台をめざす大福山梅ヶ瀬コースは、梅ヶ瀬渓谷から大福山へ向かう約4時間の道のり。
友は何度かツアー参加で経験済みのルート。
私は部分的にしか知らない養老渓谷・実質初体験も同然!

前回の鋸山では男女5人での賑やかな道行き、ロープウェーとはいえ子どもの頃から何度も行った場所、という安心感がありましたが…今回は女子2人旅。
小湊鐵道の養老渓谷駅までは友の車で、鋸山ほどの斜面は少ないとはいえ、
「遭難したら洞穴に入って吹雪が止むのを待とう」
「私がここに来てるのは誰も知らないけど、友んちの家族がきっと探しに来てくれるから、それまで…ダメ!寝ちゃダメ!!」
「帰り道がわからなくならないように、パン屑を目印にしながら行こう」と、小学生レベルの妄想が脳内ぐるぐる。

冗談はさておき、好天のゴールデン・ウィークど真ん中、駅でトイレを済ませ、自販機でペットボトルを調達し、いざ出発。

新緑うるわしいモミジの木のアーチを抜けて、
まずは小湊鐵道の踏切を渡ります。
ちょうど上り列車が近づいてきて、思わずにわか撮り鉄と化す私。
単線をゆっくりと駅に入っていくベージュと朱色のツートンカラー。
ディーゼルエンジンの醸し出す質感が、何とも和みます。


まだ民家も並ぶのどかな道。やがて赤い宝衛橋を渡ります。
右手、かなり高い位置に青い渓谷橋が!
橋の下は、深いところを流れる養老川。
帰りはあっちを通ろう、と歩みを進めます。


道沿いに、アートハウスあそうばらの谷「おもいでの家」を発見。
地元のお母さんたちが運営するカフェだそうです。

他のハイキング客の姿も見当たらず、車もほとんど通らず。
農家の庭先にきれいな花々。
山あいの貯水池?が、テニスコートのような赤色で、その上に山フジの花びらが沈むことなく散っていました。
不思議な光景は、アゾラと呼ばれる浮き草の繁殖によるものらしいです。
石を投げ込んでみるまで、液体だと思えない密度で水面を埋めていました。


視界のあちこちに山フジ、紅い岩ツツジ、ミズキの白い花。
道すがら、見知らぬ花が目につくたび写真に撮るものの、
名前がわからないので調べるのはちょっと大変。
緑の房が雄花で、上のピンク色が雌花だというオニグルミ、初めて見かける木でした。
渓谷の植生は、♪この〜木、何の木、気になる木〜の連続。


右手に手書きがアートな立て札。
ギャラリーか何かの入口?と思いきや、超個性的な字体で「七色瀧」。
「橋を渡った先に滝があります、ぜひご覧下さい」の案内。
かなり細い急な山道を下っていくと、谷川の流れの向こうに岩肌をつたう湧き水。これのこと?
いやいや、その右手奥に落差7〜8mはある立派な滝が!


西向きなので午後には陽光が当たり、虹が出るのかも。
ちょっと道なき道なので、肌の露出ナシで勇気を持って踏み入るべし。

この道で本当にあってる?というか、今どこ?と不安になり、朝生原トンネルの手前にある梅ヶ瀬の茶屋でお尋ね申す。
親切なおとうさんとおかあさんが出て来て、わかりやすく教えてくれました。


遠足などでお弁当を広げる休憩ポイント、広々とした駐車場を横切って、さらに進みます。
理科の教科書に載っていそうな、地層のデパートみたいなエリアです。
海底が隆起した岩山を、川の流れが浸食したのか…。
気の遠くなるような年月をかけて生み出された景観。
岩肌に小さなトンネルが空いていて、向こう側が見える!
黒く口を開けた洞窟も、たくさん見かけました。
「吹雪になったらあそこで助けを待とうね」


いつの間にか、道の際にオリーブ大の実がたくさんついた並木道。
「これ、梅の実だよ!」
荒い木肌が特徴的な、若い梅の木が途切れずに植えられています。
「あっ!梅ヶ瀬渓谷だけに?!」
脳内では「ヶ瀬」が一致しているというだけで、名曲『柳ヶ瀬ブルース』が流れ続けております。


いよいよ、養老川の支流・梅ヶ瀬川に沿って進むエリアに。
ひたすら沢を渡り、上っては下り、また沢を渡る。
似たような景色が何度も目の前に現れます。
あまりにも「デジャヴ」が連続するため、同じところをぐるぐる廻っているのではという不安が。
正規のルートを逆走しているため、時折ハイカーとすれ違い、
そのたび「あの人たちって、さっきもいなかったっけ」と、背筋が寒くなりそうな心持ちに。
飛び石をまたぎ山道を乗り越え、ゴールが見えない緊張感で、冒険心に火がつくことったら。


岩肌に透き通った清水が溢れ、川面に小さなクラウンを描く。
写真では上手に伝えられませんが、幻想的な光景です。
川底まる見えの、きれいな流れがゆるむ場所には、10cmくらいの小魚とおたまじゃくしが泳ぎ回っていました。


下草も刈られ、よく手入れされた杉木立ちが美しい。

沢の両岸に、決壊した堰の跡?のような巨石が。
大水が出たら、こんな大きな石も流されてしまうのか…。


やがて川岸が、鋸山の石切場跡のような粘土質の岩に。
刃物で切り取ったようなギザギザが、まるでキュビズム。
人工物としか思えないけど、紛れもない水の仕業。
その、ちょっと滑りやすい芸術作品を踏みしめて歩みを進めます。


途中、何度も立て札に登場していた「日高邸跡」。
沢またぎのデジャヴが長く続き過ぎて、すっかり辿り着ける自信がなくなっていましたが、ようやく小高い台地が広がる場所に出ました。
「日高誠実」と書いて「ひだかのぶざね」。
明治時代に藩校の教授となり、藩政に参与したのち、
勝海舟や伊藤博文らと接しながら陸軍に所属。
人生の後半を理想郷の建設にかけ、市原市大久保の地に「梅が瀬」をつくり、梅や橙などを植樹。
居宅裏の梅が瀬書道に講師を招き、近隣の子弟に国漢、英数・書道・剣道を教えた偉人。
千葉に生まれ育っても、全く知らなかった!
教科書にくらい載せても良いのでは。
梅ヶ瀬渓谷の作り主であり開拓者の暮らした地、ハイクするなら必須ポイントではありませんか。
ここでちょっとおやつ&水分補給と休憩。
カラッとした5月の好天、たくさん汗をかきお腹はまだ空かない…と思ったら、みるみる灰色の雲が空に広がって、木立の間から雨がポタポタ。通り雨でした。


ここから、沢を離れ大福山の展望台をめざします。
急な斜面は、大木の「根っこ階段」が続き、くねくねと尾根を登ると息もあがり気味。
がんばれ!アタシ達!!

ようやく展望台か!と思わせるアスファルトの公道に出て、
そこには「日高誠實顕彰碑」。
見晴らしはいいけど、展望台ではない様子。


ここから公道で下り道、と歩き始めてすぐ左手に、今度こそ展望台へ向かう階段が現れました。


鉄骨が組まれた中に螺旋階段で登る展望台に到着!
ここが本日の折り返し地点です。
雲が広がってきたため、富士山や東京湾の対岸は霞んで見えませんが、房総の山並みを一望できる360°のパノラマ。


達成感でいっぱい、足取りも軽くアスファルトの道を下ります。
モミジ並木や、可愛らしい花をつけた木に立ち止まりながら、
ゆるゆると女子トークを炸裂させつつ、復路を進みます。

コンクリートで固められた崖面から生えた木に、
見慣れぬ可憐な白とピンクの花。葉っぱは桜みたい。
調べたら「タニウツギ」という名前でした。


こちらも見たことがなくて、調べたら「エゴノキ」。
小さな丸い蕾が綿棒の先のようです。


ようやく、行きに通った道まで戻ってきました。
今度は青い橋を渡るため、分岐点をめざします。
その前に、自販機とベンチがあったので木陰でランチタイム。
おむすびを頬張る私たちに、モミジの木が日射しを遮ってくれました。
青い葉っぱに、プロペラ型の種がついているのを初めて見ました。
モミジの花の後につく種は、これから紅くなるそうです。

ちなみに…ランチを食べたのはこのおうち?の隣、いや敷地内。
ドラゴンボールのブルマの家そのもので、目を引きます。
和歌山県にはこの丸いドームが林立する「とれとれヴィレッジ」というホテルがあるんですって!
しかも発砲スチロール性というからさらにびっくり。
住民?の方が外構を自ら工事中…という感じでした。

ちょっと迷いながら、青い橋をめざします。
途中に、かなり大きなお地蔵さまと、まだ新しい祠。
鈴を鳴らして、手を合わせました。


ついに青い渓谷橋へ!


いざ渡ってみると、その高さと手すりの低さがなかなかのもの。
体を乗り出してはるか川面を見下ろすと、高いところ大好きな私もちょっと脚がすくみます。
下の方に、往路で歩いた赤い橋とアートハウスあそうばらの谷「おもいでの家」。
絶景かな!!!


ようやく養老渓谷駅に戻ってみると、なんと線路の上に黄色い楽しそうな乗り物が。
親子でこぎこぎして、なんて楽しそうな。
あれは噂の、線路上を走れる軌道バイク!!!
さらに大きな音を立てて、おもちゃのような小さな列車が行きつ戻りつ。
こちらも親子でこぎこぎしています。
小湊鐵道で連休中の2日間だけ開催していた「軌道バイク・軌道自転車体験運転」なるイベントでした。
心の底から乗ってみたかったのですが、実はこの日、もうひとつの目的(むしろそっちがメイン?)がひかえていたため、がまんがまん。


長くなってしまったので、メインの更新はまた後日…。

それにしてもアスファルトのない山道は、携帯も完全に圏外。
友のスマホのグーグルマップもGPS機能も、もちろん使えず。
現代文明と情報社会と、切り離されたひとときは、自分の知恵と五感と友情だけが頼り。
昼間で、元気な2人だからいいけれど、もし1人で日没が近づいたら…かなりなサバイバルです。
でも、それこそが養老渓谷ハイクの醍醐味!
養老川上流と、がっつり触れ合った大冒険でした。